学会|2025年9月29日掲載
「歯科イノベーションによる新時代の創生」をテーマに
第25回日本歯科医学会学術大会が開催
さる9月26日(金)から28日(日)の3日間、パシフィコ横浜会議センター(神奈川県)において、第25回日本歯科医学会学術大会(日本歯科医師会、日本歯科医学会主催、川口陽子会頭)が「歯科イノベーションによる新時代の創生」をテーマに開催された。本大会は、歯科医療関係者が一堂に集い4年に一度開催される国内最大規模の学術大会であり、講演やシンポジウム、臨床セミナー、国際セッション、e-ポスターセッションなど、多岐にわたるプログラムが繰り広げられた。
また、併催された日本デンタルショー2025(一般社団法人日本歯科商工協会主催)では、最新の歯科医療機器や歯科材料が展示されるなど、多くの歯科医療関係者が熱心に見学する姿が見られた。産学一体となって未来の歯科医療を展望する熱気に包まれた3日間となった。
会長講演では、小林隆太郎氏(日本歯科医学会会長)が「旗幟鮮明“口腔健康管理”のチカラ」と題して講演を行った。小林氏は、誤嚥性肺炎、糖尿病、認知症など、全身疾患が歯科疾患に深くかかわる研究を紹介し、口腔健康管理の重要性を強調した。また、「糖尿病診療ガイドライン2024」(一般社団法人日本糖尿病学会)を引用し、糖尿病と歯周病が合併症ではなく“併存病”として扱われるようになったことを説明。令和6年度の診療報酬改定における生活習慣病管理料においては、糖尿病患者への歯科受診勧奨が明記されたことを紹介し、医科と歯科の連携の重要性を強調した。さらに、2040年を見据えた歯科イノベーションロードマップの進捗状況や歯科医療の未来についての展望を述べ、歯科医療が単に歯を治療するだけではなく、口腔という“命の入り口”を守り、国民一人ひとりの健康寿命延伸に貢献していくべきだと訴えた。
会頭講演では、川口氏が、大会テーマそのものである「歯科イノベーションによる新時代の創生」と題した講演で、日本歯科医学会の活動、超高齢社会における歯科医療の課題、未来社会における歯科医療の展望など、多岐にわたるテーマについて語った。日本歯科医学会は、2040年を見据えた歯科の未来予想図として、「2040年への歯科イノベーションロードマップ」を作成している。このロードマップは、“新規検査・技術・治療法”“新規材料・機器”“健康長寿社会の実現・フレイル対策”という3つの分野に焦点を当て、段階的な目標を設定している。2025年は第Ⅰ期の終了年にあたり、これまでの研究成果の発表と今後の展望について示された。また、口腔健康管理の普及啓発活動の重要性を強調し、8020運動をラップで伝えるアイデアも紹介された。
26日(金)の夕方に行われた開会式では、文部科学省、厚生労働省、経済産業省といった行政機関や日本医師会をはじめとする関連団体から祝辞が寄せられ、それぞれの立場から歯科界への強い期待が示された。なお、本大会の主要なプログラムは、2025年10月1日(水)から10月31日(金)までオンデマンド配信される。さらに、次大会となる第26回大会は、5年後の2030年11月にパシフィコ横浜(神奈川県)にて開催予定となっている。