学会|2025年9月30日掲載

「多角的見地から迫る閉塞性睡眠時無呼吸」をテーマに

日本包括的矯正歯科学会(JIOS)、2025年第3回例会を開催

日本包括的矯正歯科学会(JIOS)、2025年第3回例会を開催

 さる9月28日(日)、日本包括的矯正歯科学会(JIOS、綿引淳一代表理事)による2025年第3回例会が、野村コンファレンスプラザ日本橋(東京都)の現地およびWeb配信のハイブリッド形式で開催された。「多角的見地から迫る閉塞性睡眠時無呼吸」をテーマに、会員を中心に多くの参加者を集めた。

 午前に行われた特別講演では、葭澤秀一郎氏(睡眠歯科リサーチセンター東京)と篠塚啓二氏(日本大学)が講師として招聘され、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)に対する睡眠歯科と口腔外科の役割について講演した。

 まず葭澤氏が「我々、歯科医療従事者が知るべき睡眠時無呼吸症の知識」と題し、OSAの基礎知識から歯科で行える簡便なスクリーニング検査、医科との効果的な連携方法および提供すべき情報などについて解説した。また、OSAは潜在患者数が多く、上気道としての口腔を日常的に診ることができる歯科での早期発見が早期介入・予防につながると強調した。次いで篠塚氏が「閉塞性睡眠時無呼吸に対する睡眠外科の役割―顎骨形態が及ぼす気道への影響―」と題し、OSA患者における顎顔面骨格形態の特徴、上気道の評価と注意点、外科治療が適応となる要件などを紹介した。氏は、後戻りを防ぐためには術前術後の呼吸動態の評価が不可欠であるとし、さらに「顎骨の形態異常が発生する前に適切な成長発育をうながすことが予防につながるため、矯正歯科・小児歯科にも睡眠医療の重要性を広く知ってほしい」と締めくくった。

 午後の教育講演では、竜 立雄氏(福島県開業)が「閉塞性睡眠時無呼吸における矯正歯科医の役割」と題して講演を行った。竜氏は矯正歯科医の立場から小児OSAについて、成人とは異なる顎顔面形態の特徴、診査診断の基本、医科との連携、矯正歯科治療における治療目標などについて解説した。

 続く症例発表では、堀切雅文氏(東京都勤務)が「ブラキシズムを伴うSkeletal Cl II 患者の包括的矯正治療」と題して講演を行った。堀切氏は一般歯科医の立場から、自院で行っている睡眠検査のワークフローを紹介したうえで、ブラキシズムの背景にあるストレスと睡眠の問題を抽出し、多角的なアプローチを行った治療の経過を供覧した。

 講演終了後のパネルディスカッションでは、口腔内装置の適切な使用、スクリーニング検査のタイミング、顎関節症とOSAの関連性などについて活発な議論が行われ、盛会のうちに終了した。なお、次回の2026年第1回例会は、きたる2026年5月31日(日)、同会場において、「矯正・補綴」をテーマに開催予定である。

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