社会|2026年7月6日掲載
日本う蝕学研究会による初の主催企画
Cariology Japan Forum 2026開催
さる7月5日(日)、品川シーズンテラスカンファレンス(東京都)において、Cariology Japan Forum 2026(日本う蝕学研究会主催)が開催され、約100名が参集した。日本う蝕学研究会は日本におけるう蝕学の進歩、普及を目的に数年前に発足した専門家集団であり、本会は記念すべき初の主催企画となった。
午前は、まず「クイズ!う蝕学の基礎 100人にその場で聞いちゃいます!」が仲川隆之氏(長野県開業)、堀川大樹氏(鹿児島県勤務)、宮城和彦氏(静岡県開業)、松田法子氏(歯科衛生士、いまにし歯科医院)の進行で行われた。う蝕の検査・診断方法や病因論、フッ化物配合歯磨剤の適切な使用法などに関するクイズに回答することで、う蝕に関する最新情報・知見を気軽にアップデートできるという企画で、正答数・解答時間をふまえた参加者のランキングも発表されるなど、白熱した時間となった。
次に、歯科衛生士企画「行動変容実践編」が平澤一美氏(歯科衛生士、坂田歯科医院)、濱﨑あゆみ氏(歯科衛生士、栗林歯科医院丸の内)の進行で行われた。う蝕の管理においてセルフケアや生活習慣など患者の行動変容が求められるということで、持続的な行動変容のためには自律的動機が重要であると提示。今回はそのアプローチの1つとして対話(オープンダイアローグ)に着目し、「話を聴く」「他者の多様な意見を聴く」ことを実際に体験するためのグループワークが行われ、こちらも盛り上がった。
ランチョンセミナーでは「吐き出しができない乳幼児にフッ化物配合歯磨剤使用を推奨すべきか?―4学会合同の推奨利用法の妥当性―」と題して、山下喜久氏(九州大学名誉教授)が講演を行った。3歳未満の乳幼児においてフッ化物濃度は1,000 ppmF、使用量は米粒程度とされているのに対して、氏はう蝕予防に関する十分なエビデンスは得られていないと問題提起。そのうえで、吐き出しができる場合とできない場合における歯磨剤の使い方について持論を展開し、注目を集めた。
午後は、まず「Vital Pulp Therapy 深在性う蝕の生活歯髄療法を成功に導くために」と題して辺見浩一氏(東京都開業)が講演を行った。氏は、エビデンスがあいまいな部分が多いからこそ、術者による意思決定(Decision Making)が重要であると強調。著書『深在性う蝕に対するVital Pulp Therapy』の内容をふまえて、5つのPhaseごとにとくに注意すべき点について解説。歯科医師だけでなく、歯科衛生士もう蝕をみるうえで歯髄も意識する必要性が明示され、大きな反響をよんだ。
最後に、「削るう蝕、削らないう蝕を再考する」と題して、山田 翔氏(愛知県開業)、仲川氏、品川淳一氏(東京都開業)、桃井保子氏(鶴見大学名誉教授)によるディスカッションが行われた。日本歯科保存学会による「う蝕治療ガイドライン」で掲載されたクリニカルクエスチョンに対する回答を振り返ったり、日本う蝕学研究会のメンバーが担当した症例を共有したりしたうえで、切削・非切削に関する判断基準について桃井氏がそれぞれコメントを寄せ、好評を博した。