萬人一語

歯科界の目指すべきビジョンは?

2021年8月号掲載

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2021年8月号掲載

歯科界の目指すべきビジョンは?

 歯科界の視線は、いまや感染予防や受診患者の減少など、新型コロナ一辺倒になっている。そのようななか、臨床現場に大きな影響を及ぼすテーマがさほど大きな議論もないままに進んでいる。すでに後期高齢者の窓口負担引き上げは決定し、金パラ問題は随時改定へと制度が変更されても、その高騰は形成するたびに開業歯科医の頭を悩ませている。その対応としてCAD/CAM冠の適応拡大、チタン冠導入など新たな動きが加速している。

 一方、医科においてはコロナ対応での現場の苦悩が伝わるなかでも、一向に進まないコロナ病床の確保、そして日本医師会(以下、日医)の各種発言が槍玉に挙がり、国民の評価は厳しいものがある。今後、日本歯科医師会(以下、日歯)がすべてにおいて日医と共同歩調を取ることは、この混乱が収まるまでに一考することも必要かもしれない。

 新型コロナは、超高齢社会となって医療制度を急性期から慢性期へ軸を移した矢先、医療界がすべての感染症を克服したかのように勘違いしていたことを気づかせてくれた。医療制度にメスが入ることは必至である。

 歯科は、依然として厳しい経営環境であっても、歯科医師によるワクチン接種の協力体制をはじめ、この有事に献身的に取り組んでいる。はたして、新たなる医療制度の構築が求められるなか、歯科のもつ役割を再評価させ、どのような形で歯科医療を新制度の中に組み込ませるのか。日歯新執行部は大きなビジョンを抱くとともに、汲々とする臨床現場の課題克服の両方に挑むことになる。