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2022年12月号掲載

歯周病治療にかかわるすべての歯科医師、歯科衛生士必読!

【PR】学会での専門医等の申請・更新で、また明日からの臨床に役立つ!

※本記事は、「新聞クイント 2022年12月号」より抜粋して掲載。

 小社9月の新刊として『日本の新分類にも対応! 「歯周病の新分類」読本』が刊行されました。本欄では、その監著者である辻 翔太氏(大阪府開業)に本書出版の意図や、出版に対するこだわり、思いを語っていただきました。 (編集部)

「ザ・クインテッセンス」誌の人気連載が書籍化!

 2018年6月、米国歯周病学会(AAP)/ヨーロッパ歯周病連盟(EFP)が、「歯周病およびインプラント周囲組織の疾患と状態に関する新分類」(以下、歯周病の新分類)を公表し、2019年12月に日本歯周病学会が、その新分類への対応を公表しました。

 それ以前の旧分類と新分類との比較のなかで、もっとも大きな変化があったのが「歯周炎の分類」です。旧分類で「慢性」と「侵襲性」の2つに分けていた歯周炎の疾患形態を、新分類では「歯周炎」の単一項目にして、さらに「ステージ」や「グレード」といった診断のフレームワークを導入しました。

 これらの「歯周炎の新分類」によって、より的確な治療を行うことが可能となりました。一方で「ステージ」や「グレード」、または診断名などを目の前の臨床例に適用させることが難解であり、周りの歯科医師からは、「臨床に活用するまでに至っていない」という声をよく聞いていました。

 そんな時にザ・クインテッセンス編集部の方からお声掛けいただき、同誌で、「明日の臨床から使える! “歯周病の新分類”使い方ガイド」と題した連載(2021年1月号~11月号)をもたせていただくことになりました。本書はその連載に、加筆、修正を行い、再構成したものとなります。

読者対象は、歯周病にかかわる すべての歯科医師、歯科衛生士!

 本書の読者対象は、歯周病にかかわる歯科医師および歯科衛生士です。歯周炎の新分類は、歯周病専門医、認定医、指導医、認定歯科衛生士の申請・更新に必要な「症例提出」に必須となるので、ぜひ本書を活用していただき、日常の臨床例に新分類を適用できるようにしていただきたいです。

日本の新分類に対応したディシジョンツリー!

 本書は、第1章から第5章までの5章構成となっています(本ページ下部参照)。

 第2章では、歯周炎を分類するための方法を5つのステップに分けて解説しています。ステップ1~4では、EFPで使用しているディシジョンツリーを翻訳して採用しました。

 ただし、日本歯周病学会が公表した歯周炎の新分類への対応では、「ステージ」や「グレード」は導入するものの、旧分類と同様に、歯周炎の疾患形態に「慢性」および「侵襲性」を継続して使用することを公表しているため、EFPのディシジョンツリー4ステップに、日本の診療でも使用できるように「1ステップ」を加えて、全5ステップで構成しました。

 本書の巻末には、前述した各ステップのディシジョンツリーが一覧となって確認できる「ディシジョンツリーまるわかりシート」(切り取って使用可能)の付録つきですので、こちらも活用していただきたいですね。

判断に迷うグレーゾーンへの対応

 歯周炎の新分類は複雑な部分が多く、臨床例に適用する際に判断に迷う「グレーゾーン」が存在します。これが歯周炎の新分類を難しくさせている一因だと考えられます。

 第3章では、ディシジョンツリー使用時に判断に迷う項目をピックアップし、Q&A形式で理解しやすいように提示しています。そのため、すでに歯周炎の新分類を臨床に活用しているが、「難しい」と感じている歯科医師にとって、有用な内容となっています。

読者へのメッセージ

 本書で紹介している歯周病の新分類を日常臨床で運用することは、科学的根拠に基づいた診療を行う第一歩となります。

 また、正しい治療を行うためには、正確な診断を行う必要があることは言うまでもありません。歯周炎を診断する際には、さまざまな要因を考慮する必要があるため、難しく感じるかもしれませんが、本書で提示した5つのディシジョンツリーに則って診断していただければ、正しく診断できるようになります。

 本書をきっかけに、歯周病の新分類を日常臨床に導入する歯科医師、歯科衛生士が増えて、より多くの患者さんが正しい治療を受けることができるようになれば嬉しいですね。

――本日はありがとうございました。