2025年4月号掲載
第3話:歯科界を取り巻くM&Aの現状とその特徴
※本記事は、「新聞クイント 2025年4月号」より抜粋して掲載。
活況を呈する歯科医院のM&A身売りから成功医院の象徴へ
日本企業が2024年にかかわったM&Aの件数は、公開されている事例だけで過去最多となりました。それも、大企業による数千億円規模の案件だけでなく、中小企業による数百万円規模の案件まで多岐にわたり、もはやM&Aは今日の日本経済にとって、ごく一般的な経済活動となっています。
その流れを受けて、歯科医院のM&Aも活況を呈しています(図1)。歯科医師の高齢化や過剰な歯科医院数といった要因から、「高齢の先生や経営不振の医院が身売りするもの」という印象が強かったわけですが、最近では比較的若い世代(40〜50代)の歯科医師が業績好調の歯科医院を高額で売却するケースが増えています。
実業家の前澤友作氏が40代前半で自身の会社を2,000億円以上で売却した例は「落ち目の会社の身売り」ではなく、若くして大きな資産を築いた事例として有名です。歯科界でも同様の動きが広がりつつあります。
億単位の高額の歯科医院M&Aが起こっている背景には、近年、大型歯科医院が増加し、その適正売買価格が歯科医師個人の支払い能力を超えはじめています。それに加え、投資ファンドなど歯科界外の大企業が、新たな投資先として歯科市場に注目し始めていることがあります。一般企業の投資先が多様化するなか、高い利益率や不況耐性をもつ歯科医院は魅力的な投資対象となっています。こうした資本や勢力の流入は、歯科界全体に新たな知見と活気をもたらす好ましい側面があると私は考えています。