感染症予防に取り組むサラヤの「顔」

2021年1月号掲載

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2021年1月号掲載

感染症予防に取り組むサラヤの「顔」

健康長寿のために予防をとおしてオーラルヘルスを普及したい

 世界の「衛生・環境・健康」の向上に貢献することをビジョンに掲げる感染症予防のパイオニア・サラヤ株式会社。健康長寿社会の実現を目指す同社が取り組むつぎなるステージの1つが「口腔衛生」だ。更家悠介氏(サラヤ株式会社代表取締役社長)が語る感染症予防とオーラルヘルス事業への想いとは。

更家:当社の企業理念は、社会問題の解決と予防です。父・章太が1952年に創業し、当時は衛生状態が良くなく蔓延していた赤痢を予防する観点から殺菌・消毒のできる手洗い石けん液と専用容器を開発したのが始まりです。続いて1961年のうがい薬、1979年のアルコール消毒剤の普及、現在ではヤシノミ洗剤や甘味料「ラカント」など、業務用から家庭用まで各時代の社会問題に対応した商品とサービスを幅広く事業展開しています。

 そのようななか、衛生事業の1つとして、社会問題化する超高齢社会への対応を考えた場合、歯科医療従事者の皆様が日々の臨床現場でご尽力されている口腔衛生への取り組みは新たなステージです。健康な生活を送るために口腔環境を整えるには、バイオフィルム感染症であるむし歯と歯周病の予防が重要だと考えました。

 当社は、オーラルヘルス事業として口腔衛生分野の展開を目指すべく、オーラルケアステーション本町歯科(大阪府)を2017年に開設し、医療法人を運営しています。また、2018年7月からは大阪大学歯学研究科と連携して共同研究講座を設立し、基礎研究や製品開発に取り組んでいます。その共同研究から生まれた成果物として、歯周病の原因菌であるPg菌の増殖抑制効果を有する植物由来原料のウコン抽出物である「クルクミン」を含有した歯磨剤を開発しました。天然素材にこだわった当社ならではの商品だと思います。今後は、健康アプリや歯科関連企業との共同開発も進めながら、商品だけではなく情報やサービスも提供していきたいと考えています。

 また、糖尿病といった生活習慣病予防を目的としてウリ科の果実である「羅漢果」を用いた甘味料の研究開発も食をとおした予防の1つです。現在でこそ糖尿病と歯周病の双方向の関係性が注目されていることは周知のとおりです。健康長寿社会を実現するために超高齢社会の課題でもあるサルコペニアやフレイル、そしてオーラルフレイルを予防するためのアプローチとして、プロフェッショナルケアとセルフケアをとおしてオーラルヘルスを普及させたいと思います。そして、正しい知識とエビデンスに基づいた商品づくりやサービスを展開していくことで国民のQOLの向上につなげ、その結果、医療費削減にも貢献できるように取り組んでいきたいと考えています。

 最後に、新型コロナウイルス感染症の拡大が進むなか、日々医療の最前線で患者さんの治療に尽力されている歯科を含めた医療従事者の皆様に心から敬意を表します。当社も、引き続き正しい情報発信と製品開発に努めてまいります。