関連キーワード

2025年3月号掲載

日常臨床において、その是非や方法に悩んでいませんか?

【PR】 咬合挙上が検討される際の バイブル、ここに誕生!

※本記事は、「新聞クイント 2025年3月号」より抜粋して掲載

 補綴治療時に咬合挙上が検討されるとき、「なぜ挙上するのか?」「どうやって挙上するのか?」などにはさまざまな考え方があり、ときに悩ましい問題になると思われます。小社から3月に発売された新刊『咬合挙上 その意思決定と臨床手技』は、その問題を東京科学大学の補綴専門医2人が考察しています。本欄では、その著者のお一人である和田淳一郎先生に、同書の出版経緯や特徴を語っていただきました。
(編集部)

物議をかもす咬合高径の変更

 私が所属している医局では、定期的に症例検討会を開いています。補綴の医局ですので、当然、補綴治療の症例について議論するわけですが、そのなかで白熱しがちなのが、咬合高径の変更が検討される症例が俎上にのぼった時です。
 なぜなら、咬合高径の減少を認める/認めない、いずれの場合においても咬合高径の変更の有無を検討する必要があるからです。そのための検査や診断、また咬合挙上が必要だと判断した場合の具体的な方法は文献的にもさまざまな意見があり、その意思決定はきわめて臨床的なものなので、コンセンサスを得るのは容易ではありません。
 このような経験を通じて、そうした咬合挙上に関する情報は、これまで散らばって存在していた印象があり、その情報を整理することの必要性を感じていました。

「ザ・クインテッセンス」の連載から書籍へ

 そこで数年前に、入手可能な咬合高径に関する文献を渉猟してそれらのさまざまな意見を整理し、さらに実際に咬合挙上が必要となった場合のいくつかの具体的な方法をまとめたプレゼンテーションをつくり、とある勉強会で講演しました。そしてそれが「ザ・クインテッセンス」の編集部の方の目にとまり、その内容を私の上司である若林則幸教授とともに同誌に数回に分けて連載しました。
 すると、連載後にはたくさんの読者の方々から編集部、また私のもとにも直接、良くも悪くもさまざまなご意見をいただくこととなり、咬合挙上というテーマに対する臨床家の関心の高さがうかがえました。そしてわれわれ著者も、それらのご意見から学ぶことや反省させられることが多くあり、貴重な体験となりました。
 その後、同連載の書籍化のお話をいただいたので、それらのご意見を勘案し、また咬合高径に関する文献を読み直すなどして、大幅な再構成、加筆を行い、今回の『咬合挙上』の出版に至りました。

咬合挙上の答えは1つではない

 本書はプロローグ~8章まで、全9章から構成されていますが、簡単に言えば、咬合高径の評価(検査と診断)、そして咬合挙上を行うと意思決定された場合の手法を解説したものです。
 しかし、先ほどお話ししたように、咬合高径や咬合挙上には文献的にもさまざまな意見があり、また、個々の患者さんによっても適した治療計画や治療法が異なる場合があるため、その答えは現時点では1つではないと考えられます。
 そのため、本書ではこれまでの文献から確からしい、いくつかの考え方や手技を並列に提示して、それぞれ解説しています。

咬合挙上時の3つの臨床手技

 本書で解説している咬合挙上法は、①中心位を基準とした咬合挙上法、②タッピングポイントを基準とした咬合挙上法、③咬合嵌合位を基準とした咬合挙上法、の3つで、これがわれわれ著者が考える、現時点での咬合挙上法の選択肢となります。
 そして個々の患者さんに応じて、これら3つの方法のどれを選択すべきか、また手技的におのおのどのような治療ステップで進めていくのかについて詳細な解説を試みました。咬合の“沼”にはまらない、
シンプルな構成

咬合の“沼”にはまらない、シンプルな構成

 咬合挙上を含むいわゆる「咬合学」は非常に奥が深く、調べれば調べるほど、その“沼”にはまってしまいがちで、ともすれば理論が先立ち、臨床を難しく考えてしまいがちです。本書の執筆にあたっては、読者がそういうことにならないように、できるだけシンプルな構成を心がけました。その一方で、咬合を理解するには、その前提として咬合学の簡単な歴史や基本的な用語についての理解が欠かせません。そこで咬合関連の専門用語については、本文内はもちろん、コラムも設けて、できるかぎりていねいに解説しました。
 さらに、咬合挙上やこれに関連する諸事項について、少しだけ踏み込んだ話題も豆知識的にコラムにしています。そのため、若手歯科医師の方々はもちろん、ベテラン歯科医師の方々にも楽しんで読んでいただける内容だと思います。

読者へのメッセージ

 日常臨床で咬合挙上の検討を迫られ、悩んだ経験のある歯科医師は少なくないと思いますし、悩みの質も歯科医師ごとにさまざまだと思います。
 手前味噌にはなりますが、そんな際に、その“取っ掛かり”として「まずはこれを読んでみては?」と言える、良い本ができたと自負しています。ぜひお手にとっていただけるとうれしいです。(談)

関連する記事

関連する特集