2021年7月号掲載
口腔疾患でよく使われる漢方薬32種完全網羅!
【PR】ご存じですか?漢方薬も歯科保険請求できるんです!
※本記事は、「新聞クイント 2021年7月号」より抜粋して掲載。
小社5月の新刊として『保険に生かせて不定愁訴にも効く口腔漢方処方早わかりガイド』が刊行されました。本欄では、その著者である漢方医学の第一人者の王 宝禮氏(大阪歯科大学教授)に本書出版の意図や、出版に対するこだわり、思いを語っていただきました。(編集部)

保険に特化した漢方本
――本書の概要をお聞かせください。
王 本書は、サブタイトルでもふれているように、漢方薬が歯科の「保険」にも適用されることや「不定愁訴」にも効くことをメインしています。
現在、歯科領域で保険適用となると考えられる漢方薬は、11方剤あるとされています。
しかし、「そもそも漢方薬って保険でできるの?」といった声や「西洋薬との使い分けは?」「漢方薬はたくさん種類があって、何をどんな口腔疾患に処方したらいいのかよくわからない」といった声をよく耳にしており、一人でも多くの先生方や歯学生に漢方薬の魅力や選択方法を知っていただきたいと思い、執筆しました。
興味をひく表紙
読んでも、眺めても、楽しく 知りたかった情報が満載!
――本書をまとめる中で、特にこだわられたことは?
王 何といっても、漢方に関心をもってもらいたい、親しんでもらいたい、その一心で、全体をとおしてビジュアルに特化した構成を心がけました。
前述のように、実際、臨床の現場でどうやって生かしたらよいかわからないといた声に応えるべく、本書では、口腔乾燥症や抜歯後疼痛・歯痛、舌痛、口内炎を訴えてくる患者さんに対して、疾患別に西洋薬から漢方薬への薬物療法の流れをつくり、口腔疾患でよく処方されている32種の漢方薬を選出し、その使い分けをチャート式でわかりやすく記載しました。保険適用と考えられている漢方薬に関しては、ひと目で認識できるよう、保険マークを設ける工夫を施しました。
押さえておきたい
漢方薬の副作用と相互作用
――漢方薬の副作用と相互作用についても、章が設けられて解説されていますね。
王 漢方薬は西洋薬に比べて副作用が少なく、効き目はマイルドで、安全だという認識がおありの方が多いかと思いますが、漢方薬も副作用はあります。たとえば、漢方薬の副作用でもっとも多い生薬は「甘草」の摂りすぎによるものです。
甘草はいろいろな漢方薬の処方に含まれ、嗜好品にも使われています。しかし、摂取しすぎると偽アルドステロン症になる場合があり、注意喚起の意味を含めて、本書では詳しく解説しています。また、漢方薬の生薬成分の麻黄にはドーピングに関与する物資を含んでおり、その点についてもふれています。
――最後に読者へのメッセージをお願いします。
王 実際、西洋薬で対応できなかった口腔疾患に、漢方薬が有効な場合があります。歯科医療の幅を広げるためにも本書をとおして漢方医学を学んでほしいと思います。
また、今後、CBT(Computer Based Testing)や歯科医師国家試験で和漢薬(漢方薬)の問題が出題されることが予想されます。近年、高齢化にともない漢方薬を服用している高齢の患者さんの来院が増えている傾向があり、その意味でも漢方薬の副作用や相互作用の知識が必要です。歯学部の卒前、卒後教育にも役立つ1冊です。
本書の意義が開業医、大学病院、さらにCBTや歯科医師国家試験対策にますます高まってくれれば、うれしいです。
――本日はありがとうございました。
